建築分野 支持力式

NSエコパイル設計の基本事項

NSエコパイルに用いる杭径と羽根径の組み合わせは下表のようになります。

1)支持層 土質が砂質土層または礫質土層であり、N値が15以上である地盤
2)杭径及び羽根径 杭径(Dp) :100mm~1600mm(呼び径)
羽根径(Dw):杭径の1.5倍~2.5倍(ただしDw=2,400mmを上限とする)
3)杭長・施工深度等の制限 最大施工深度は70m以下かつ杭径の130倍以下
引抜支持力を期待する場合:
杭長の最低値は羽根径(Dw/Dp≧2の場合にはDw=2Dpの値とする)
の10倍とし、杭先端位置はGL-10m以深とする。
4)支持層への根入れ長 原則として1Dp以上
(施工時にはトルク管理により打止めることもあります)
5)杭の中心間隔 杭径(Dp)+羽根径(Dw)以上

(1) 長期許容鉛直支持力は、下式によります。

ここに

RaL:
長期許容鉛直支持力(kN)
α:
先端支持力係数(α=200)
β:
羽根径による係数で次式によります

ただし、Dwが1.5m以下の場合は1とします
杭先端から上下1Dwの間の平均N値
ただし、≦60(個々のN値の最大値は100)
Ap:
底板部見付け面積(m2)
e:
支持力に対する外側羽根の有効率(e=0.5)
Awo:
外側羽根面積(m2)
Dp:
杭径(m)
Dw:
羽根径(m)
基礎ぐいの周囲の地盤のうち砂質地盤の標準貫入試験による打撃回数の平均値
ただし、≦50
Ls:
基礎ぐいがその周囲の地盤のうち砂質地盤に接する長さの合計(m)
基礎ぐいの周囲の地盤のうち粘土質地盤の一軸圧縮強度の平均値(kN/m2)
一軸圧縮強度のデータがない場合は=12.5Nとすることができる
ただし≦200(kN/m2)とし、 <30kN/m2の時は摩擦を考慮しない
Lc:
基礎ぐいがその周囲の地盤のうち粘土質地盤に接する長さの合計(m)
基礎ぐいの周囲の長さ(m)
ただし、杭先端から上側1Dwの範囲は周面摩擦抵抗を考慮しないものとします。
長期許容鉛直支持力拡大する

長期許容鉛直支持力

(2) 引抜き方向の短期許容支持力は、下式によります

ここに

tRaS:
地盤の引抜き方向の短期許容支持力(kN)
κ:
くい先端の引抜き方向支持力係数(κ=92)
λ:
砂質地盤におけるくい周面抵抗力係数(λ=1.13)
μ:
粘土質地盤におけるくい周面抵抗力係数(μ=0.27)
杭先端から上方に2Dwの間の平均N値
(引抜き抵抗算定用平均N値)
ただし、 ≦60(個々のN値の最大値は100とする)
Atp:
基礎ぐいの先端の有効断面積(m2)
Dwe:
先端羽根の有効径(m)
Dp:
杭径(m)(Dpの適用範囲は0.1m≦Dp≦1.6mであるが1.2m≦Dpの場合にはDp=1.2mとする)
Dw:
羽根径(m)(1.5≦Dw/Dp≦2.5であるが、2.0≦Dw/Dpの場合はDw=2×Dpとする)
基礎ぐいの周囲の地盤のうち砂質地盤の標準貫入試験による打撃回数の平均値
ただし、≦50
Ls:
基礎ぐいがその周囲の地盤のうち砂質地盤に接する長さの合計(m)
基礎ぐいの周囲の地盤のうち粘土質地盤の一軸圧縮強度の平均値(kN/m2
ただし、≦200(kN/m2)とし、<30kN/m2の時は摩擦を考慮しない
Lc:
基礎ぐいがその周囲の地盤のうち粘土質地盤に接する長さの合計(m)
基礎ぐいの周囲の長さ(m)
=π・Dp ここで用いるDpの範囲は0.1m≦Dp≦1.6mとする)

なお、支持層への根入れ長は、原則として1Dp以上とします。
また、杭先端から上側2Dwの範囲は周面抵抗力を考慮しないものとします。

杭長の最低値は羽根径(Dw/Dp≧2の場合にはDw=2Dpの値)の10倍とし、杭先端位置はGL-10m以深とする。
引抜き方向の短期許容支持力拡大する

引抜き方向の短期許容支持力

(3) 杭材の材質とF値

部材 規格記号 基準強度
F値
長期許容応力度 短期
曲げ・圧縮 引張 せん断
鋼管 STK400*1,SKK400 235N/mm2 長期の1.5倍
STK490*1,SKK490 325N/mm2
羽根 SS400,SM400 235N/mm2 長期の1.5倍
SS490,SM490 325N/mm2
SCW480(溶接構造用鋳鋼品) 275N/mm2
F*:
設計基準強度 0.01≦tpc/r≦0.08の場合 F*=F(0.8+2.5・tpc/r)
tpc/r>0.08の場合F*=F
r:
杭軸部の半径(mm)
tpc:
腐食代を除いた鋼材の厚さ(mm)
*1:
STK規格は原則としてDp=400未満で用います。

(4) 杭材の長期許容圧縮力および短期許容引張力

tNaS:
杭材の短期許容引張力

ただし、L/Dp≦130とする。
ここに

μ:
長さ径比に対する低減率(%) μ=L/Dp-100
L:
杭長(m)
Dp:
杭径(m)
NaL:
杭材の長期許容圧縮力(N)
F*:
設計基準強度(N/mm2
F:
鋼材の許容応力度の基準強度
r:
杭軸部の半径(mm)
tpc:
腐食代を除いた鋼材の厚さ(mm)
腐食代は鋼管の内外面の合計で1mm以上とします。
Asp:
腐食代を除いた杭鋼管の断面積(mm2

(5)杭の押込み方向の短期許容鉛直支持力

杭の押込み方向の短期許容鉛直支持力は、1式の2倍かつ、3式の1.5倍以下とします。
杭の引抜き方向の長期許容支持力は2式の1/2倍かつ、4式の1/1.5倍以下とします。

ただし、長期引抜き支持力を用いることができるのは、杭先端から上側2Dwの範囲の土質が砂地盤の場合とします。

(6)トルクの検討

鋼管の板厚を、施工時に作用するトルクによって検討する必要がある場合もあります。
施工トルクは地盤条件や杭径によって変わりますので、詳しくは弊社担当者へご相談ください。